ある日はハチミツ、ある日は玉ねぎ

オランダ人女性とシンガポールで国際結婚した会社員が妻にこっそり日本語で綴るブログ

Sushi Airways

 

シンガポール在住日本人が寿司を食べるなら、専ら日本人料理人のいるお店か、スシローや富寿しといった日本発祥のお店に行くと思います。最近はローカルの寿司屋もそれなりのクオリティで悪くはないのですが、何か物足りないないと感じてしまうんですよね。

 

それでも、唯一行ってみたいと思っていたローカルのお店がこちらのSushi Airways
もう名前、お店の外観からインパクト大。きっと私の大好きな、海外でよくある偏見に満ちた勘違い日本文化(フジヤマ!カブキ!)が全面に押し出されているに違いない。ということで味や質には期待せず、店のコンセプトを楽しむという目的で先日行ってきました。

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場所はアラブストリートのど真ん中。一階は中東料理

 

 

 

Sushi Airwaysという名前の通り、店は旅客機をイメージした作りとなっており、入り口からワクワクさせられます。特にコロナで海外旅行が制限されている今は、ちょっとした旅行気分です。

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入り口



 

店内はこんな感じで、旅客機内部、というか貨物機のような雰囲気。ブレードランナースターウォーズの酒場のような、どこかサイバーパンク感もあります。店内は非常に狭く4人掛けテーブル席が2つ、2人掛けが5-6くらい。人気店のようでテーブルは満席、テーブルが空いたらすぐに次の予約客が来店しているくらい回転率も高かったです。

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料理の味も良かったです。日本でも食べられるレベル。但しコンセプト店故か、値段は高め。この値段でこのクオリティなら、スシローに行って鱈腹食べるかなといった感じ。
おつまみやお酒の種類も豊富なので、デートには向いているかもしれません。

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寿司セット。これでS$40



 

ちなみにボーディングパスもらえます。

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中東の旋風を求めて①

中東にはこんな諺があります。

 

「ある日は蜂蜜、ある日は玉ねぎ

 

日本の「楽あれば、苦あり」と同じように、人生には良い事がある日もあれば悪い事が起こる日もある、という意味です。中東、イスラーム世界では蜂蜜は古くから魔法の食べ物とされており、子供が風邪を引いたら蜂蜜入りのお湯を飲ませる、なんてことがよくあります。玉ねぎはその匂いから忌み嫌われており(実際には多くの中東料理で使われているのですが)、食べた人間はモスクへの入場が禁じられていることもあります。蜂蜜、玉ねぎどちらもクルアーンに記載がある程古くから中東地域に根付いており、前者は至高の品として、後者は預言者ムハンマドの嫌いな物として記述されています。

 

ちなみにこちらの諺、アラビア語で書くと

يوم عسل يوم بصل (yaumu aslin, yaumu baslin)

となります。蜂蜜と玉ねぎが韻を踏んでいるのです。

 

私のブログのタイトルも、この諺から取ったものです。
この言葉を知ったのは学生時代、中東のとある国に留学をしていた時でした。日本とは180度価値観の違う異国の文化の中で感じた事、学んだ事、そしてそれが今の私の仕事、家庭生活あらゆる面で大きな核となっている事を、気が向いた時に書いていきたいと思います。

 

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生命保険

大変ご無沙汰しております。
ここ最近は忙しくて完全にブログを放置していました。また定期的に書いていきたいと思います。


凍結胚移植

残念ながら妊娠陽性とはなりませんでした。まだまだ胚はあるので、2回目を行おうかと思っていた矢先に再びシンガポールはコロナ蔓延。同時に外国人向けワクチンの接種も可能となった為、医者と相談して2回目のワクチン接種後1ヶ月を置いて改めてトライしようということになりました。

 

GMAT

3ヶ月の準備期間(主にOG)を経て挑戦するも、結果は570(MATH 48, VERBAL 23)の撃沈。
オンラインの塾に入って8月に再度受験を目指しています。

 

 

ところで本日は生命保険の紹介を頂きブローカーさんから商品の話を聞きました。
シンガポールの商品は生命保険の補償額が日本より高め(大凡倍くらい)で入るにはお得なんだとか。元本補償の資産運用型は株の積立をやっておりそちらで十分の為、生命保険にでも入ろうか検討中。

以前日本で車を購入した時、ディーラーから「生涯で購入する最も高いものTOP3は、住宅、車、保険ですよー」と言われましたが、確かに納得。そんな簡単には契約できませんな。

 

 

 

凍結胚移植

 前回の続きです。

aint-no-mountain.hatenablog.com

 

上記のエントリで書いた手術から約3ヶ月が経ちました。
妻の術後の状態は問題なく、生理も戻ってきた為、いよいよ凍結胚の移植を行おうとDr.Ngの元へ行きました。
今年の1月からクリニックをGreneagles Hospitalに移転したようですが、一方でIVFの治療室はNovena付近の別病院にあるため、ドクターは病院を行ったり来たりしているようです。そのせいもあってか予約した面談時間になっても我々の順番は回って来ず、さらに時間が経つにつれてクリニックには人、人、人。結局予約した時間から2時間後にやっと面談となりました。
このドクター、齢70を超えたにも関わらず朝から晩までフルで働いているみたで、産婦人科ってホント大変だと分かりました。

面談の結果、妻の体の方は問題ないことがわかり、いよいよ凍結胚の移植日を決定。
ホルモン剤とビタミン剤を購入し、移植日までは妻は服用することに。移植日の前日は、もうすぐ食べられなくなるから。と妻のリクエストで寿司を食べましたが、おしんこといなりと卵食べられるんじゃないか?と真面目に答えたら怒られました。余談ですが最近はスシローがシンガポールにも何軒かできており、手頃な価格で日本と変わらない味が楽しめるのです。

 

さて移植日当日。
朝の定例血液検査後、クリニックで凍結胚の移植を行いました。
私は採卵時と同様、モニター付きの別室で移植のレントゲン映像を見るのですが、何が何やらよく分からず、しかも気づいたら終わっていたという何とも情けない結末。妻は手術室で移植前の杯を生で見ることができたようです。ちなみに移植自体の費用は約SGD 4500でした。

 

特に麻酔も無かったので、術後は少し休んで帰宅。クリニックから貰った移植後のしおりを参考にしながら、2週間後の判定日を待ちます。

 

 

 

 

 

 

 

スエズ運河座礁事故と今後の影響

ご無沙汰しております。

火曜日にオフィスでスエズ運河座礁事故のニュースを聞き、当初は私も上司も大したことないとたかをくくっていたのですが、 どうやら事態が長期化しそう。との予測です。
私も以前はコンテナ業界に携わっており、さらに現在の業界はモロにスエズ運河遮断の影響を受けているので、人ごとではありません。。

せっかくなので簡単に今回の事件を整理したいと思います。

www.yomiuri.co.jp

 

 

関係者整理

日本海事新聞によると、今回座礁した本船Ever Givenの運行者はEver Green(台湾)、船主は正栄汽船(日本)、船舶管理会社はBS management(ドイツ)とのことです。
本船の契約について、当初は裸傭船との報道がありましたが、後の報道で定期傭船契約だということが判明しました。海運ならではの非常に複雑な契約形態があり、この辺が「一体誰が責任を負うのか」という点に大きく関わってくるので一旦整理します。*1

 

まず船のオーナーは正栄汽船になります。正栄汽船はオーナー(船主)として、船の定期的なメンテナンス、税金の支払い等をする義務があります。
但しこれだけでは船は動きません、船長、航海士、機関士、その他多くの船員を配置する必要があります。船員を雇用し、管理しているのはBS managementです。
最後に、実際に営業で貨物を見つけ、船で運ぶ事によって利益を得ているのはEver Greenになります。

 

もう少し分かり易い例にします。A旅行代理店に勤務している私は、今回社内で国内のバスツアー企画が立ち上がり、運転手付きの送迎バスを手配しなければなりません。私はBレンタカーに連絡を入れます。
話を聞いたBレンタカーは送迎バスサービスを快諾。但しBレンタカーは自社でバスを持っていますが肝心のバス運転手が居ません。そこでBレンタカーは、C派遣会社に連絡して運転手を手配します。
運転手を確保したBレンタカーは、運転手代を含めた1日辺りのレンタカー料金を設定し、A旅行代理店と3日間の契約を結びます。

以上のケースを座礁事故に準えると、

・A旅行代理店 → Ever Green(運行者)

・Bレンタカー → 正栄汽船(船主)

・C派遣会社 → BS Management(管理会社)

となります。

 

責任の所在

さて、今回の事故の”責任”は誰にあるのかという点ですが、責任、つまり損害は各会社、実際に貨物輸送を委託している荷主、さらにはエジプト政府も含め複雑に絡んでいるので単純化することは不可能です。

 

まず船が座礁した場合、離岸に係る費用は船主責任となりますので正栄汽船が支払うこととなります。
遅延等により船上にある貨物にダメージが生じた場合、荷主が船主に対してカーゴクレームを行い賠償請求ができますが、今回の座礁事故の原因は「予測不可能な強風」との報道が出ています。仮に今回のケースが天災とみなされる場合、正栄汽船は免責となる可能性が高いです
一部報道では、座礁の影響で待機を余儀なくされた他の船が賠償請求をするという話が出ていますが、上記の通り天災となる場合は、正栄汽船は責任を取る必要がありません。
また、船主、荷主は一般的に保険に加入していますので、免責以外のコストに関しては保険で処理されることが殆どだと思います。

気になるのはエジプト政府の動向です。スエズ運河通行料が外貨取得の源となっているエジプト政府が莫大な損害賠償請求を行うという噂もあります。日本海時新聞によると、スエズ運河の通行時の自己責任は船長が負うとのことなので、BS management、及び正栄汽船が損害賠償請求を受ける可能性はあります。

 

今後の海運・世界の物流動向

本題に入ります。今回の事故が我々の生活にどのような影響を及ぼすか。
BBCの記事では離岸作業は難航しており、少なくとも潮位が上昇する来週まで離岸は難しいとの予測です。*2

もし来週に離岸が完了した場合、我々の生活に影響は殆どないでしょう。10日ほどの遅れは海運業界では珍しくもなんともありません。スエズ運河通過後のロッテルダムシンガポールでは一時的な貨物ラッシュに見舞われ荷役が停滞・混乱する可能性はありますが、一過性のものになります。


もし来週の満潮時にも離岸ができなかった場合、船からコンテナを下ろし離岸できるまで船体を軽くする必要があります。この場合、ガントリークレーンも付近に街もない状況のため、作業は数ヶ月は要します。*3

 

するとどうなるか、初めに原油価格が上昇します。殆どの原油/石油製品はスエズ以南の中東から輸出されているため、アジアの石油供給への影響は軽微ですが、現在の原油価格は実需要よりも投機的な意味合いが強く、供給面の不安から原油価格の上昇を後押しする可能性が高いです。既にNYCの原油市況はスエズ座礁の一報を受け価格が上昇しているようです*4

 次に多くの船がスエズ運河通行を断念し、南アメリカ喜望峰周りでヨーロッパ/アジア間を動くことになります。結果、海運市況全体で運賃が急騰し、原料や資源価格の上昇が我々の生活にも影響する可能性が高いです。報道によると一部の船は希望峰ルートに変更を始めており、離岸作業の状況によっては他船社も追従することとなります。*5

East Port Maritimeによると石油化学製品を運ぶタンカー市況の指標の一つであるBaltic Clean Tanker Indexは一夜で2.74%上昇しています。年初からコモディティマーケットは、ポストコロナを見据えた市況高騰が始まっており、今後更に価格が上昇する可能性は非常に高いです。

 

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まとめ

・損害賠償は保険適用or免責。エジプト政府の動向は注視。

・現時点で物流への影響は軽微

・来週離岸できない場合、海運市況の急騰が予想。

・長期化する場合、資源・材料価格が上昇。

 

海運の混乱による実生活の影響の例ですが、最近では、2014年の米国港湾ストライキの影響で、マクドナルド・ケンタッキーがポテトの販売を休止した例があります。
今回のスエズ事故も早期の解決が難しい場合は、このように実生活への被害が拡大する可能性は高いです。

www.nikkei.com

 

 

 

キノクニヤ

Singaporeに期間限定でKinokuniyaが出店するらしい!

www.straitstimes.com

 

というニュースを聞いて、いや、もう紀伊国屋あるんですけど。と思ったのですが、どうやらスーパーの方の紀ノ国屋とのこと。
それでも中部地方出身の人間には全くピンときません。シンガポールでニュースになるくらいなのできっと有名なスーパーに違いない、と調べてみたらこちらを発見。

 

 

 

 

 

楽天市場】エコロジーバッグ【紀ノ国屋 エコバッグ】:e-shop KINOKUNIYA 楽天市場店

 

あぁーこれか!!
東急ハンズでの商品かと思ってた!

 

 

私でもそこまで関心がないスーパーなのに、よくニュースになるなと関心。(ちなみに本日現在大手Strait timesの人気記事ランキング第7位)

まあ(情報統制もありますが)それくらい大きなニュースがないのがこの島国です。

 

Quality Time

いきなりですがEconomistを読んでいて、ハッと気づかされた記事がありましたので紹介します。

 

www.economist.com

 

コロナのパンデミックで在宅勤務が増加し、これまで以上に家で家族と過ごすことが多くなった筆者。ある日の夕方、ロックダウンが一旦解除されたタイミングで、息子とピザを食べに出掛けました。パンデミックの真っ只中、会話も最小限にお互い面と座ってピザを食べるだけでしたが、帰り道、息子が「最高の夜だった」と口にしたとのことです。

 

子供にとっては、平日の夕方に外食をしたことが、思いがけない驚きの夜だったのかもしれません。ですが筆者は息子の言葉を聞いて、それよりも大事なことに気づきました。コロナ禍による在宅勤務で今まで以上に家族と接する機会を持ったと満足していた筆者ですが、実際のところ、家族と本当の意味で交流を取っていなかった事を悟りました。平日の息子との会話といえば、朝の身支度の指示、宿題の確認などが中心。子供のそばにいたり、子供の話を聞いたり、または遊びに付き合うことは殆どなく、コロナ禍で在宅時間が増えてもその傾向は変わっていなかったのです。

 

翻って、筆者は幼少時代の両親との思い出を記憶から呼び起こしました。彼の一番の思い出は、父親が連れていくパブでの出来事。筆者が音楽レッスンを終え、迎えにきた父が帰りにパブに寄ってビールを飲む、その横で彼もとコーラをチップスを食べる。何気ない時間、でも何も気にすることなくただただ二人でいられる時間。親と子供の大切なQuality Timeであったことに気付かされます。

 

2月、筆者は息子をパブに連れて行きました。彼の幼少時代と同じく、彼はビールを頼み、息子はコーラとチップスを頼む。その時何を話したか覚えていないくらいなので、特別なことではなかったのかもしれません。後日、筆者は息子にコロナ禍が終わったら何したい?と聞きました。息子は「またパブに行きたい」と答えたそうです。

 

 

良い話だなーと共感した一方、私自身にも当てはまるなとハッとしました。最近は平日も二土日もMBAのための勉強ばかりで、毎日家にいるにもかかわらず妻との時間が持てていなかったことに気づきました。
勉強も大事ですが、週一回は気休めの時間と家族のQuality Timeのための時間を作ろうと思います。