植物由来肉の「インポッシブル・バーガー」と対面
インポッシブル・バーガーをご存じだろうか。
動物を一切使わない植物由来の人口肉で、アメリカの「インポッシブル・フーズ」社が売り出し中の話題の次世代食品。シンガポールでは昨年から様々な店で提供が開始されたものの、ベジタリアンでもなんでもない私は「普通に肉食わせろ」という感じで全く興味を持っていなかった。ところが、最近ベジタリアンの友人ができたので、話題の人口肉バーガーを食べにいった。
場所はOutram/Tanjong Pagar近辺にあるPotato Head。
ここはバーガー類・ビールを豊富に取りそろえたお店で、欧米人がいっぱい。可愛らしいLooftop Barもあり、週末は予約必須。
バリのクタビーチにも系列店のビーチクラブがあり、日本ではそっちの方が有名かも。
お店に到着後、早速インポッシブル・バーガーを注文。メニューの写真撮るの忘れた。
確か単品でSG$25くらいであった気がする。
そして待つこと10分。ついに人口肉バーガーとご対面。
見た目も匂いもまんまビーフパティ。
半信半疑だったものの、予想以上のクオリティで驚く。
食べてみる。
ええ、これもう肉じゃん...。
噛んだ後の肉(大豆)汁、ひき肉(大豆)の触感。独特の血の匂い、感じ。本物のビーフパティと全く遜色ないレベル。というかビーフって言われて出されても信じれるくらい肉。肉肉しいほどに肉。
もはやこれがあれば肉が不要になるくらいのレベルの満足度。
バーガーに感動する一方で、一つの疑問もわいてきた。果たしてベジタリアンでも何でもない私がインポッシブル・バーガーで食肉欲を満たすとはどういうことなのか。
人口肉は元々、環境対策の為に投じた製品だ。工業用畜産は温室ガスを多く輩出しており、牛肉食を止めることが温室効果ガスの削減につながるという理論は理解できるが、食肉は我々人間が、長い歴史をかけ培ってきた大事な文化でもある。食肉を止める前に、石炭による火力発電を止める等、もっとマクロな視点で先に取り組むべき問題があるのではないか。もしかしたら、この食肉文化消失への警笛こそが、インポッシブル・フーズ創業者の本当の狙いなのではないか。
インポッシブル・バーガーはまさに人間の環境対策を憂いた、壮大な皮肉なのではと考えてしまう。大豆だけど。
味に感動し、そして現在の環境対策について考察する自分の横で、初めて肉(大豆)を食べた友人が呟いた。
「ふーん、これが肉ね。フィレオフィッシュの方が好きだな」。