回転飲茶から考える寿司文化 in Singapore
最近忙殺されており前回の続きを書く気力がないので閑話休題。
Novina周辺に行く用事があったので、帰りにランチの場所を探していると、なんともカラフルなレストランを発見。
料理はどうやら飲茶と中華料理。うん、悪くなさそうじゃん。ということで入ってみると、お気づきでしょうか...。各テーブルの通路と反対側に何か光るレーンがあるのを...。
そうなのです、まさかの回転寿司スタイル飲茶でした。
スシローと同じく、パッドで注文したものがベルトコンベアを伝って運ばれてきます。
回転寿司のように常時食べ物が流れており自分の食べたいものをピックするわけではないので、専ら人件費削減の為だと思いますが、なんか新鮮な感じ。
値段は少し高めですけど、Ding Tai Fung好きなら問題ないおいしさです。
ところでシンガポールは寿司レストランが本当に多い。そして人気。
平日の昼間っから寿司食べてる人の多いこと多いこと。スシロー、元気寿司、Nihon Mura、Sushi Expressといった回転寿司はもちろん、所謂”まわらない寿司”のお店も沢山あります。それも日本由来のお店だけでなく、今ではローカル発祥のお店でも日本と引けを取らないくらい美味しいのです。
CUHKの日本文化研究者であるBenjamin Ng Wai-Ming氏によると、シンガポールで最初に寿司を含む日本食文化が到来したのは1960年代とのこと。高度経済成長により海外赴任となった日本人向けに、日本人が始めた、非常に限られた文化であった日本食が、日本人の更なる東南アジア進出とシンガポールの経済成長も相まって徐々に国民に浸透。さらに、90年代以降も増え続ける国内の日本人人口と、漫画・ドラマ等の日本のカルチャーの伝来がシンガポールでの寿司文化を揺るぎないものとしたということです。確かミスター・味っ子は中国・香港等の中華圏でも人気を博したアニメですね。
Benjamin氏によると、シンガポールにおいて寿司がポピュラーになった理由は文化の浸透だけではないようです。専門店に行き、カウンターに座って寿司そのものを楽しむ古来の日本の寿司文化とは異なり、シンガポールは家族で出かけ、安く食べられることを重視します。その為、日本食レストランに行き、お気に入りの寿司を少々、うどんや天ぷら等の他の食事と合わせて頼むのが一般的でした。平成以降、日本が専門店から回転寿司やデパ地下惣菜で寿司を大衆化したように、シンガポールでは既に存在していた数多の日本食レストランが、メニューの一つとして寿司を提供したことが大衆化に貢献したのです。
日本から空輸で若干7-8時間ほど、国内のロジスティクスの利便もあり、安くて新鮮な寿司が食べられるシンガポールは、東安アジアの日本食文化のハブなのかもしれませんね。
さらに詳しくは、以下Benjamin氏の論文"Popularization and localization of sushi in singapore"をどうぞ。