ある日はハチミツ、ある日は玉ねぎ

オランダ人女性とシンガポールで国際結婚した会社員が妻にこっそり日本語で綴るブログ

双子の自然分娩@シンガポール

大変ご無沙汰しております。
この半年は目まぐるしく人生が動きまして、

・5月:双子誕生。
・7月:会社を退職。シンガポールを離れ欧州へ
・9月:スペインでMBA開始

という家族も地理も生活も劇的に変わる6ヶ月を過ごしていました。現在私は単身でスペイン、妻は子供と実家のオランダで生活という離れ離れの日々を送っております。退職の話やMBAのこと等書くネタが大量に溜まっていますが、まずは忘れないうちにシンガポールでの双子出産、かつ自然分娩の経験を残しておきたいなと思います。

 

 

自然分娩への道のり

日本で双子の出産といえば十中八九帝王切開、この考えはシンガポールでも同様で、Public/Privateどちらの医者へ行っても帝王切開ありきで話が進んでいました。私も妻も疑うことなく帝王切開前提で数々の医者と話をしていました。一方で帝王切開の場合第二子以降も高確率で帝王切開となること、これまで複数の術歴のある妻の体への負担をも増すこと、また通常の自然分娩より回復が遅れることとなり、且つ術歴のある妻が場合完全に回復するまでには1ヶ月程かかるのではないか、という懸念がありました。

我々夫婦が本格的に自然出産の検討をし始めたのは29週目頃。このタイミングで主治医を変えるのは大きな賭けでした。残された時間もほとんど無く、まずは一度診断を受けて見る為に、シンガポールにて双子の自然出産経験が豊富なDr.Laiの元へ向かいました。

https://www.camden.com.sg/specialist/dr-lai-fon-min

 

 

自然分娩

Dr. Laiは長年リスクのある出産、具体的にいえば術歴がある場合や双子妊娠の女性の自然分娩を手掛けてきた方でシンガポールでも唯一といっていい存在です。リラックスした物腰でしたが、双子出産の可能性やリスクについてもしっかり丁寧に説明してくれた為とても好感が持てました。Dr. Lai曰く、現在の胎児の状況や妻の術歴を顧みるに自然分娩は十分可能ということでしたので我々夫婦も彼に委ねることとしました。クリニックはTanglinに、また出産の場合はGreneaglesで対応可能ということもありアクセスが良かったのも決め手の一つでした。

ただ自然分娩といっても何もせずに陣痛が始まったら病院へGOというわけでは無く、私たちの場合はバルーンを子宮口へ挿入して陣痛を誘発する計画分娩でした。

Dr. Laiとは正式に契約を結び病院のベッドも確保。この時点で確か34週目とかなりギリギリな状態。胎児の成長の状況から、出産予定日を36週目に設定しました。

 

 

自然分娩

遂に予定週である36週目に突入。まずはDr. Laiの元で妻の子宮に誘発材であるバルーンを挿入。これにより子宮口を広げ胎児の出産を促します。2日後にバルーンを取り出すと、予定通り陣痛が始まった為病院へ向かいました。

いつ陣痛が来ても問題ないように入念に病院までのルート(タクシーですが)や持ち物などを準備していた私でしたが、妻の陣痛が始まるとちょっとパニック状態に。ここで私がパニクったら終わりだろ...、というのは分かっていましたが未知の経験、且つ日本国外ということでどうしても抗えないものがありました。結局は陣痛に苦しむ妻に励まされるという全くもって本末転倒な状態となりましたがなんとか病院へ着いたのが15時頃。すでにドクターはLabor roomにおりました。妻は痛み止めを処方され少し安定。子宮の広がり具合を観察しながらということでその日は出産は無く待機。翌朝に改めて確認することとなりました。

 

そして迎えた翌朝。7時頃にドクターがやってきて診療すると、十分に子宮口が開いているということで分娩開始。確実に2児を分娩させる為吸引機を使うこととなりました。無痛分娩とは言え力む妻は苦しそうで、何もできない男性の非力さを痛感するばかり。7時30分、男の子が先に私たち夫婦の元へやってきました。その15分後、今度は女の子が。二人とも2.4Kgと少し小さいですが無事に生まれてきてくれて何よりでした。

術後の妻の回復は帝王切開と比べ段違いに早く、3日程で退院。ただシンガポールだと1日で退院とかもザラらしいので比較的長く入院した方ではあります。日本であれば1週間くらい入院するのでしょうか。

 

自然分娩を終えて

妊娠後期に主治医を変えリスクのある自然分娩を選択するのは一見大きな賭けではありましたが、

シンガポール産婦人科医のクオリティは総じて高いこと(但しプライベート)
②自然分娩中に異常があれば直ぐに帝王切開に移れるよう双方合意していたこと

という点を考慮すると、実は試してみる価値は大いにあるんじゃないかと思います。双子出産の場合多くの医師が帝王切開を強く進めてきますが、切開は女性の体へ大きな負担を強いることとなります。勿論リスクが全くないとは言えませんが双子出産=帝王切開しかないというわけではありません。特にシンガポールにはDr.Laiのように優れた医師もいます。今回の私達の経験が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。